知的障害者の自立生活についての声明文 素案

前文 背景として

国連障害者権利条約を批准しました。その『第十九条 自立した生活及び地域社会への包容』では以下のように規定されています。

「障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと」

しかし、地域では、家族介護が限界に達した知的障害者は、それまでの関係や生活を分断される「施設入所」という、本人が望まない選択を余儀なくされ、「特定の生活施設で生活する義務を負わされている」と言っても過言ではないような状況があります。

重度の知的障害があっても、それを支える支援体制があれば、公的介護を活用して地域の中での自立生活をすることが可能です。しかし、相談支援、行政のケースワーカー、施設・居宅介護などの支援機関も、自立生活と言う選択肢を本人、家族に提案しない(できない)状況が続いてきています。

この声明文は、それら支援サイドの意識改革を求めるものです

本文

◯私たちは次の提案をします

・居宅介護、重度訪問介護、移動支援等の公的介護を活用し、自立した生活を知的障害のある人達が住み慣れた地域で継続していくための提案を支援者がしていきましょう。

・家族介護が限界に達した時に、選択の余儀なく入所施設、グループホームへの入所を選ぶしかない状況にしないために、成人(あるいは30歳など、一定年齢にになった段階で)になった段階で公的介護を活用して家族から自立した生活を選択する機会を支援者が提案していきましょう。

・家族介護が限界に達した時に、入所施設、グループホームを提案する前に、公的介護を活用した自立生活の可能性を検討しましょう。

・重度の知的障害者の地域での自立生活を可能にするコーディネータ(コーディネートできる人)やヘルパーを育て、増やしましょう。

上記の提案を支援者が意識的にしていくことで、知的障害のある人たちが地域で安心した生活を継続していく可能性が拡大していくと私達は考えています。

 

 

◯私たちは次の点を考慮し、この声明を発信しています

・体験していないことを推測し判断することが苦手な知的障害のある人たちにされる提案は、体験した状況を踏まえて変更が可能なものであるべきである。

・他のものとの平等の観点から、地域での自立生活が最初に検討されるべきものである。

・グループホームの存在を必ずしも否定するものではない。地域生活の可能性を検討した上で、それでも本人がグループホームを望めばその選択はあるだろうが、重度の知的障害者の家族介護が限界になった時に、選択肢がグループホームか施設入所しかないという状況が改められなければならない

・介護、経済、住居の支援が一体となっている入所施設、グループホームは知的障害のある人たちの生活におけるリスクを集中させる場合が多い。

(例えば、グループホームの世話人を本人は選ぶことができないので、その人とそりが合わず我慢できなくなった場合に転居を余儀なくされると、そこで構築したすべての関係を手放さなくてはならなくなる等)。

・現行の入所施設はもちろん、グループホームも障害者だけが利用者として共同生活を送ることから、障害のない人たち大きく異なる生活様式となりがちであり、ほとんどの場合、地域から分離されている状況がある。

・都市部においては、グループホームの新規建築は困難が多く、入所支援希望者の数を大きく下回った設置計画しかたてられていない。

知的障害者の自立生活についての声明文 素案 作成者(あいうえお順)

櫻原雅人(特定非営利活動法人はちくりうす 所属)

鶴田雅英(東京都大田福祉工場 所属)

中村和利(特定非営利活動法人風雷社中 所属)