知的障害者の自立生活についての声明文 

 

前文  背景として

 

国連障害者権利条約を批准しました。

その第19条には

 

【自立した生活〔生活の自律〕及び地域社会へのインクルージョン この条約の締約国は、障害のあるすべての人に対し、他の者と平等の選択の自由をもって地域社会で生活する平等の権利を認める。

締約国は、障害のある人によるこの権利の完全な享有並びに地域社会への障害のある人の完全なインクルージョン及び参加を容易にするための効果的かつ適切な措置をとるものとし、特に次のことを確保する。

(a) 障害のある人が、他の者との平等を基礎として、居住地及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること、並びに特定の生活様式で生活するよう義務づけられないこと。

(b) 障害のある人が、地域社会における生活及びインクルージョンを支援するために並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(パーソナル・アシスタンスを含む。)にアクセスすること。

(c) 一般住民向けの地域社会サービス及び施設〔設備〕が、障害のある人にとって他の者との平等を基礎として利用可能であり、かつ、障害のある人の必要〔ニーズ〕に応ずること。 川島聡=長瀬修 仮訳(2008年5月30日付)」より引用

 

と規定されています。

 

特に「障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと」は重要な部分であります。

しかし、地域では、家族介護が限界に達した知的障害者は、それまでの関係や生活を分断される「施設入所」という、本人が望まない選択を余儀なくされ、「特定の生活施設で生活する義務を負わされている」と言っても過言ではないような状況があります。

 

重度の知的障害があっても、それを支える支援体制があれば、公的介護を活用して地域の中での自立生活をすることが可能です。

 

しかし、相談支援、行政のケースワーカー、施設・居宅介護などの支援機関も、自立生活と言う選択肢を本人、家族に提案しない(できない)状況が続いてきています。

 

この声明文は、それら支援サイドの意識改革を求めるものです

 

 

 

本文

 

◯私たちは次の提案をします

 

① 居宅介護、重度訪問介護、移動支援等の公的介護を活用し、自立した生活を知的障害のある人達が住み慣れた地域で継続していくための提案を支援者がしていきましょう。


 ② 重度の知的障害者の地域での自立生活を可能にするコーディネータ(コーディネートできる人)やヘルパーを育て、増やしましょう。


 ③ 家族介護が限界に達した時に、選択の余儀なく入所施設、グループホームへの入所を選ぶしかない状況にしないために、成人(あるいは30歳など、一定年齢にになった段階で)になった段階で公的介護を活用して家族から自立した生活を選択する機会を支援者が提案していきましょう。
 

④ 家族介護が限界に達した時に、入所施設、グループホームを提案する前に、公的介護を活用した自立生活の可能性を検討しましょう。
 

⑤ 知的障害のある人たちの周囲が家族と支援者だけになり、インフォーマルな状況が希薄なり、当事者がパワーレスとならないよう具体的な取り組みを持ちましょう。
インフォーマルな関係性こそが人としての尊厳を守る力となります。 

 

 

上記の提案を支援者が意識的にしていくことで、知的障害のある人たちが地域で安心した生活を継続していく可能性が拡大していくと私達は考えています。

 

 

 

 

◯私たちは次の点を考慮し、この声明を発信しています

 

・体験していないことを推測し判断することが苦手な知的障害のある人たちにされる提案は、体験した状況を踏まえて変更が可能なものであるべきであると考えます。

 

・他のものとの平等の観点から、地域での自立生活が最初に検討されるべきものであると考えます。

 

・グループホームの存在を必ずしも否定するものではない。地域生活の可能性を検討する中で、本人に自立生活、グループホームと複数の選択肢が上げられ、本人が主体としての選択を可能にすることが大切だと考えます。

 

・重度知的障害者の家族介護が限界になった時に、選択肢がグループホームか施設入所しかないという状況が改められなければなりません。

 

・介護、経済、住居の支援が一体となっている入所施設、グループホームは知的障害のある人たちの生活におけるリスクを集中させる場合が多いと考えています。 (例えば、グループホームの世話人を本人は選ぶことができないので、その人とそりが合わず我慢できなくなった場合に転居を余儀なくされると、そこで構築したすべての関係を手放さなくてはならなくなる等)。

 

・現行の入所施設はもちろん、グループホームも障害者だけが利用者として共同生活を送ることから、障害のない人たち大きく異なる生活様式となりがちであり、ほとんどの場合、地域から分離されている状況があります。

 

・都市部においては、グループホームの新規建築は困難が多く、入所支援希望者の数を大きく下回った設置計画しかたてられていません。

 

・フォーマルな支援が当事者を囲み、家族以外のインフォーマルな関係性が奪われている状況下で、当事者が本来持っている力が奪われています。知人や友人などインフォーマルな関係性が豊かであり、特に意思決定支援にそれらの関係が尽力しうる状況が必要だと考えます。 ・現在、実現している重度知的障害者の自立生活も過渡的な状況にあり、より良い状況を目指していく必要があります。

 

 

 

 


知的障害者の自立生活についての声明文作成経緯

 

会議記録

◎2017年3月11日(土) 19:00〜

参加:櫻原 鶴田 山田 中村

◎2017年2月25日(月) 10:00〜

参加:田中 櫻原 中村

◎2017年 1月21日(土)19:00~  

参加 櫻原 中村 鶴田

◎2016年12月25日(日)19:00~  

参加:櫻原 中村 鶴田 山田

◎2016年10月16日(日)19:00〜  

参加 櫻原 中村 鶴田

◎2016年10月              

障害者支援に関わる櫻原、中村、鶴田により発案され、取り組みが開始

 

◎ 作成者(順不同)

櫻原雅人(所属 特定非営利活動法人はちくりうす)

鶴田雅英(所属 東京都大田福祉工場)

中村和利(所属 特定非営利活動法人風雷社中)

山田悠平(所属 大田障害者連絡会)

田中恵美子(所属 東京家政大学人文学部教育福祉学科)

土井淑美(個人 当事者家族)

 

 

 

 

 

 

 

 

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